ivataxiの日記

絵 文章 映画

くろまつはし みどりはし

湖西市の図書館と消防署の間を流れる川に沿って、自転車を走らせることがある。ここも以前は自然の川だった。どうした理由かは知らないのだが、いつしかコンクリートの人工的な川となった。その当時は「自然破壊」なのでは?と、疑問にも思った。川の底は平らで、水の流れも均一で緩やかに見える。しばらくはそんなことも忘れていたのだが、ある日、その川には「藻」か「水苔」みたいな緑色の植物が、絨毯みたいに繁茂していた。その後、人工的に石が置かれ、その川には蛇行がつけられたのだった。やがて、自然の川さながらに、その石の蛇行に合わせて、砂や土や様々な植物なども流れついて、中州のような砂だまりができて行った。忘れた頃に、そこはちゃんとした陸地のようになって、水辺にありがちな植物が生い茂り初めて行った。陸地が盛り上がるのに反比例して、川底には深みも増しただろう。緩やかな流れと、穏やかな流れの場所ができて行った。ややもすると、小さな魚も見つけることができるようになった。果たして、上流から流れたものか、下流がら上ったものかはわからない。誰かが放流したということも考えられなくはない。小さな魚がいると、それを食べる少し大きめな魚や、鳥たちもやって来るようになる。そんな循環が繰り返されて行ったようだ。今では「自然な川」のような趣がある。市民会館・市役所の間から、体育館の横あたりには「みどりはし」と「くろまつはし」という橋が渡っているのだが、ちょうどその辺りには、高低の段差がつけられたのだった。水が少し堰き止められたことによって、深みが増したようだ。心なしか水の色も深いし、一体中がどうなっているのかわからない。深みからひょっこり頭を出した形置石が配置されている。水位が下がり置石があらわになるお天気の日には、その置石の上に亀を見つけることがある。「甲羅乾し」というやつだろう。また、水量が多く、置石がすっかり隠れてしまう日には、水に体を浸し、頭か鼻だけを水面に出した亀たちを見ることがある。そして、昼休みなのか「みどりはし」と「くろまつはし」の辺りには、亀を観察するでもなく見ている人を時折見つける。「のんびりしてるなぁ」と、思うのである。だが、その「亀を見る人を、さらに見ている自分とは、もっと暢気な人間なのかも知れないなぁ」ともいえそうなのである。