ivataxiの日記

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シオマネキ

シオマネキのボス/短い童話
シオマネキは、片方だけ大きいはさみを持っているカニです。シオマネキの世界では、ハサミが大きいほど強くて魅力的な男性なのでした。もともと、片方のハサミが誰より大きいボスは、それでもまだ満足できません。どんどんに鍛えたので、ハサミはとても立派になりました。他のシオマネキたちは、ただ息を飲むばかりです。とうとうボスのシオマネキは、あまりにもハサミが重くなりすぎて、一人では動けなくなりました。だから、重いほうのハサミを、トリマキのシオマネキたちに支えてもらって動いていました。そんなある日、突然、どこからか、まだ誰も見たこともない大波が、シオマネキの住む砂浜にやって来ました。シオマネキたちは、大きな重そうなハサミを振りながら、なんとか走って逃げました。困ったのはボスです。みんな自分のことで精一杯なので、誰も助けてくれません。一人では動けないシオマネキのボスは、逃げ遅れて波に飲まれてしまいました。そしてついに、帰れることはなかったということでした。おしまい。