ivataxiの日記

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憑く神

憑き神
「憑き神(つきがみ)」という映画を、少し前に見た。主役のツマブキは、出る映画を売れるものにする、ある意味「ツキの神」でもあるのだが、この映画は逆の意味の憑き神の話なのだ。徳川の大政奉還ギリギリの時代を描き、代々「影武者」の家に生まれた主人公の話で、「武士としての責任を果たしたくなくて、逃げ回る徳川慶喜の最後の影武者として果てる」という「死に所」へ、貧乏神・疫病神・死神との出会いにより向かって行く。本来なら、死は恐れるべき物・・だが、当時まだ残っていた「武士道」に照らすならば、清清しく、まぶしいツマブキに見える。主人公も死神を恨むこともなく、それまで逃げてばかりいた生き様に、自ら気づき、武士の本懐と受け止めるまでの心の変化が描かれている。霊能力のある佐藤慶太の演じる従者と、西田敏行の演じる「貧乏神」の九字を切るシーンは吹き出した。