ivataxiの日記

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高津苑 ラーメン屋さんバイト

高津苑 
2000年の夏、久しぶりに溝口・高津を歩いた。洗足学園の横にあった「多摩芸術学園(現在は、洗足学園が拡張し敷地の中に跡地がある)」という専門学校に通っていた頃に、夏のバイトをした「高津苑」というラーメン屋さんのあった通りに行ってみた。やはりもう店舗はなくなっていた。でもそこには名前の違う中華料理屋さんがあり、経営者などは同じなのかも知れないとも思えた。溝口の文房具屋さんをわずか30分でクビになって(きれいに並んだ文具をドミノ倒ししてしまった)、すぐ近くのこのラーメン屋のバイトを本当に軽い気持ちで始めたのだ。(夏休みはぼんやりする程長くないから)なのに、このブログを軽い気持ちで始めた割に長く続いているのと同じ現象が、このラーメン屋でも起きたのだった。恐い顔のオヤジ(実は若いのかも?)ばかりだったが、少しつき合うと優しさは隠せない人達。ホールというのだろうか、注文を聞いて、料理を出して、片付ける仕事だった。「この店の、メニューと味を覚えないといけねぇ~からよぉ、昼休みは右から順番に食わしてやる」という。本当に値段の高いメニューでも食べさせてくれた。「餃子の仕込みができたらよぉ、バイト代80円上げてやるから」というので、初めて厨房に入った。どんなことだって人は平等であるべきなのだが「向き不向き」ということは実際確かにどんなことにもあるらしく、餃子は諦めることにした。(不器用)その時、厨房のスープの鍋の中を偶然見てビックリ!豚の足(爪をはがして)鶏の様々な部品・野菜のくずなどがグツグツと煮込まれている。深い森の魔法使いの小屋に迷い込み、鍋の中の恐ろしい光景に遭遇した少年の気持ちである。でも実は、それがラーメンの味の秘密の一部であることは確かなようで、味は店の小ささ・汚さを凌駕して余りある☆☆☆☆なのだ!(でなかったら、常連なんて定着しない)はげていてコワモテの、でも実は若いおじさんがチーフらしく、鍋を振る姿はカウンター越しでも安心してホレボレして見てしまう。だが、調味料の分量などは味見をしながらシャモジに適当に取っていたから、レシピはなかったみたいだった。「あの店のタンメンがもう一度食べたい」と、思う気持ちは「魔法使いの小屋に迷い込み、鍋の中にある恐ろしい光景に遭遇した・・当時の少年の気持ち」なのである。