ivataxiの日記

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空回りのチェーンの音

近くのスーパーには銀行のCDが一つある。焼鳥を焼いている移動トラックの横を通り、公衆電話と子どものコインで動く乗り物の横にある入口をふさぐように二人の女声が話している。二人とも知っているがおかしなことに誘おうとするやからだ。クリーニングの前を通りCDコーナーに入ろうとすると、歯医者の階段を降りて来た女性に先を越された。ほぼ同時なのだが笑顔で「私が先だからね」的にグイグイと並ばれた。しかも待っている時間に根掘り葉掘りこちらの嫌がる内容をネチネチ聞くタイプの女性だ。あえて年齢を書くのはよそう。ぼくはCDなど興味ない風でその場を通り過ぎ、少し離れた所から小走りで家に戻った。信用金庫までは歩くと少し遠い。何ヶ月ぶりかで倉庫のシャッターを持ち上げる。二台ある古いママチャリに空気を入れた。もちろん、金属部分ではなくてゴムのタイヤの方だ。おとなりさんが声をかけるが、空気を入れながらだから時間を取られたとはいえないが、心がザワつく。普段乗らないほうのママチャリに乗り、普段乗る方をしばらく奥にしまう。幸い子どもの通学時間と大人の通勤時間のはざまだ。自転車で走ってはいけない場所が多すぎるが、誰も歩いていないのだから無視。信用金庫のCDは5つもあるのに並んで待つ。銀行のシャッターがガラガラ降りて「自分で機械で入れやがれ」という心の声が聞こえる。「普通預金の出し入れなんて手数料を取りたいぐらいだ」と銀行員から聞いたのはずいぶん前だが、途中で小銭の両替が有料になり一部の銀行では駐車場が有料になった。定期預金も金利なんてないみたいなもんだからな。コンビニでもお金の出し入れができる世の中。しばらくすると銀行の店舗も変わるかもしれない。空気を入れた時に、少し油もさした。もちろん油は歯車の方でタイヤではない。マウンテンバイクは漕ぎ続けるが、ママチャリはズルをして時折気を抜いてこぐこのやめると、空回りのチェーンの音が油をさすと気持ちいい音に変わるから好きだ。今日は妙に暖かく気持ち悪いのだが、ようやく風は寒く変わってきた。