ivataxiの日記

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畑のレンゲたちの小さな声

何ていうことのない畑がたくさんあって、レンゲが勝手に?咲いている。小さくて誰も摘み取らないような花なのだけど「集団の力を甘く見るなよ」という団結の怖さを漂わせる花である。東に丘があり丘を登り切る。今来た道を振り返るなんて、少しいけないことみたいだが、人生に小休止も良いもんだ。風は西から東に吹いていて、今通り過ぎたレンゲ畑の上を軽くなぞって丘に吹きあげて来る。何という事もない春の田んぼが大きなタイルみたいに並んで見える。本当に一つのレンゲならわずかなのだろうが、そこにある広々とした畑のレンゲたちの小さな声を集めてぼくに届いた。広々とした小さい者たちの切ない甘さがいつまでも頬に当たっていた。