ivataxiの日記

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少し小さいクルーズ船

バブルの頃の話である。瀬戸大橋で渡って、小舟を借りてささやかなクルーズ体験をした。船長とその部下の二人で小舟を操るのだ。「エンジンを止めます」と船長がいって、本当にエンジンを停めた。何が起きたのかわからない。「大きな横波が来ます。エンジンをかけたままだとこの船は転覆します」という。瀬戸内海は大型船も行き交うからその通過した時の横波は小舟にとっては命取りだ。サーフィンみたいに大波に登らされ少し落とされたが、転覆することもなかった。年老いた枯れ木のような船長は「宇宙戦艦ヤマトの沖田館長」のように見えた。若い頃は、もっと大きな船を操っていたに違いない。大波が行き過ぎるとまた何もなかったように船長はエンジンを再起動した。そして、少し小さいクルーズ船のツアーに戻ったが「絶対この船は宇宙戦艦ヤマトだ」と、心の中の子供の部分でワクワクした。