ivataxiの日記

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ムギは入れて

10年前には、週に一度生け花を習いに行っていた。看板もあるが、上層部へお金を払えなくなった今は、ただの板切れだ。節約で、花は買わなかった。花屋さんに知人がいるので、安くしてもらった。でも、悪いからタイヤキを差し入れた。暗黙の交渉である。「ムギは入れて」と、頼んだ。その透明感のある緑が美しく思えたから。フリージアのピンク・薄紫・紫・マゼンダと、シダの葉。花屋さんは、まだ「フラワーデザイン」という言葉が世間に知られていない頃からそんなことをしていたようで、現在も近くで教えている。いきなり「小さな黄色いバラ」を数本、頼みもしないのに入れた。黄色が映える。さすがのチョイス。それからもう、一週間経った。活けるでもなく、トイレに突っ込んだままにしてあった。段々枯れて来た部分も目立つ。久々に花バサミをケースから出した。一つ一つ、花と話をしているみたいにながめ、剪定して行く。かなり捨てたが、水切りもして、凛としたようだ。花を買うこともままならないが、時に花に向かうのも良いと思う。