ivataxiの日記

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電柱のセミ

以前、カーブミラーに映る自分の姿に恋して激突を繰り返す鳥を見た。最近ではセミがコンクリートの電柱にしがみつく姿を見る。7年程地下にいて、ようやく地上に出て、水分しか吸えない注射器みたいな口で僅かな地上生活を子孫繁栄に捧げるセミ。コンクリートの電柱は樹木そっくりだが、注射器みたいな口でも吸えない。大きな体に薄い非力な羽でようやく飛んだ先がバーチャル樹木では悲しい。食物連鎖の頂点と言われる人間もバーチャルな恋に気付かずにいるから、セミやトリとそんなに変わらないのかも知れない。