ivataxiの日記

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やきめし

多少体は肥えているが たぶん舌は肥えていない。
「生まれ」というのは味覚の好みに関係しているのだろう。
キャビア」とか「フォアグラ」を出されても、その価値がわからない。残念な人生の食事事情。昼時に一般家庭のそばを通る時、フライパンを扱う音や「ジュージュー」というような音が、外まで聞こえることがある。中では、子供たちが食事ができるのを待っているかも知れない。風向きによると、献立の香りが外になびくことがある。鼻をかすめると「焼き飯」の匂いだったりもする。「チキンライス」という歌があり、ほぼその歌詞と同じ心境だ。今なら、電子レンジがあるから、冷たい残りご飯も一分待てば「チン」とホカホカになる。自分の子供時代には、まだそんな高価で便利な調理器具はなかった。母も中学に上がる時までは、外に働きに出ず、自宅にずっと居て「主婦」だった。お金はないが、何でも手作りだ。お米が残っていると、良く「焼き飯」を作ってくれた午後だ。少しおなかのすいた時間帯に、鼻っ面をかすめた「焼き飯」の香りは、そんな記憶にたどり着くのだ。