ivataxiの日記

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目を閉じると、分離が始まる

手術のあと意識が戻り「良かった」という頃。ベッドそのままを、転がして、CTやMRなどを撮りに行くことが多かった。それまでも、本人の知らない間に、何度も同じようにしていたようなのだが。ベッドで通路を運ばれると、通行人・見舞い客・患者・病院関係者が、上から見下ろす。まだ、魂と肉体がつながったばかりの身としては、これはつらい体験だった。ベッドを押す、看護婦さんに「目を閉じれば気にならない」と、教わった。だが、肉体と魂の狭間がまだあいまいだ。目を閉じると、分離が始まる。ベッドに乗っている、肉体から少し離れた空中にカメラがフワフワと浮いているように感じる。勿論、目は閉じているから何も見えるはずはないのだが・・。カメラでは考えられないアングルに見える時「やはこれはカメラとは違う」と、思うのだ。