ivataxiの日記

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焼肉

大食い伝説 焼肉

高校を卒業して最初に通ったのは溝の口の専門学校「多摩 芸術学園」。住む場所がなかったので、中学の同じバレー部から目黒高校のラグビー部に行くことになった友人の紹介で「俺の今いる部屋に住めるように監督に 相談する」という話に乗った。合宿所には20人位生徒が住んでいて「朝の飯炊きそするという条件で無料で泊まる」早い話、住み込みの飯炊き男である。四畳 半一間に一人で住むのは、破格で、他の生徒はきっと数人で一部屋だったろう。朝の飯と味噌汁は大量に作る。そこからぼくの昼飯と夕飯は簡単に調達できる。 土曜に一人家庭教師のバイトも世話していただいたから贅沢はできないがなんとかなった。合宿所は先生(監督)の持ち物で自宅敷地内にあった。監督のお供で 渋谷の焼肉屋さんに連れて行ってもらったことがある。監督は背は高くないが筋肉質でいわゆる肉食。古いが高そうな店で名前は思い出せない。主だった学校関 係の人も同席で支払いは誰かが済ませていた。「お前は金のことは考えるな。いいか、今日は肉がノドから見える位に食え。わかったか」という。監督は機嫌が イイ時はイイが、機嫌を損なうと難しいことになりそうだ。ノドから肉が見えるというのはどういうことかわからないが、そんなつもりで食べた。焼肉は名前が わからないから、ともかくやたらに口に入れて半分位咀嚼して飲み込むのである。胃の形はわかるが、食堂まで肉が来ているかはわからなかった。「どれ口を開 けてみろ、なんだまだ肉は見えないじゃないか」などといわれたらどうしようとヒヤヒヤしたが、考えすぎだった。あれは表現の一つだったらしい。