ivataxiの日記

絵 文章 映画

白衣 フォークリフト

大学の4年間は小さな薬局のバイトだった。店主は店を任せて外国旅行に行く。「お土産は何が良いかな?」と聞かれ「エッチな本」という本心を隠して「レコード」というと、本当にレコードを買ってくれるような純真な店主であった。彼はアメリカに当時行ったことのある珍しい人で「アメリカにはドラッグストアというのがあって、そこでは薬だけでなくアイスクリームを食べることもできるんだよ。ぼくはそういうのを日本で作りたいんだ」と語ってくれて、当時は理解できない夢物語だった。薬科系でなくデザイン専攻だったので、どのみち薬剤師にはなれなかっただろうから、卒業時に「うちに就職しないか?」といわれた時にも「ぼくはデザインに進みます」と、見えない未来にかけてしまった。今や本当に日本でも「ドラッグストア」という言葉が定着した。近所にもチェーン展開の大型ドラッグストアがひしめき合っていて、小さな薬局は閉店を余儀なくされているようだ。あんなに欲しかった「薬剤師」という免許もドラッグストアでは大量確保が可能なのだろうか?白衣のどうみても高学歴っぽい男性が、フォークリフトダンボールの出し入れをしていて不思議な気持ちにもなる。